田中真紀子女史は大学の劣化と闘えるか

11月2日、田中真紀子文科相秋田公立美術大学札幌保健医療大学岡崎女子大学の3校の大学設置を不認可とした。
この件に関し、現在、国民的な議論が巻き起こっている。

田中女史によれば、現在の緩和され過ぎている大学設置基準によって大学での人材育成・研究機関としての質が確保できなくなっているという。
たしかに、今から50年前の1962年、大学は国立、公立、私立合わせても260校だった。まだ「学士様」という言葉が通じた時代である。それが2012年時点で780校にまで膨れ上がっている。
最近、巷では「Fラン」という言葉がすっかり定着している。Fランとは進学予備校の河合塾が大学のランク分けの際に使用している分類項目の一つで、正式名称は「ボーダーフリー」。入学試験合格に必要な偏差値が35以下の大学を指す。
事実上、無試験で入学できるというFランの実態とそういったFラン大学の急増で「Fラン」は急速に世間に広まった。
はっきりと言ってしまえば、現在ある780校の大半はFランである。
ちょっと外を歩けばチンピラのような大学生(?)ばかりである。一目見て勉強・研究などと無縁の人間である事が分かる。
もはや大学生は学徒とは到底呼べない存在になっているのだ。
こういった事態は大学設置基準の極端な緩和によって発生したというのは火を見るより明らかだろう。

チンピラを雇いたい企業もあるまい、ただでさえ不景気な上に学生の劣悪化は雇用情勢に深刻な悪影響を及ぼしている。
田中真紀子女史はこの問題に目をつけた。「少子化に伴う大学全入時代」などといって、まるで「少子化のせい」と言いたげな大学の実態を正したいという意図だろう。
全入は大学側によっても齎されたのだ。実のところ、問題なのは大学数だけではない。
大学側は学生の質など考慮せずに金儲け目的で大学の定員を大幅に拡充。また、不要な学部を大量に乱立させている。今や過去の10倍以上まで定員を広げた大学もある。
「一人頭ウン百万円という巨額を支払ってくれるのだから、とにかく稼げるだけ稼ごう。学生の質など知ったことではない。とにかく入金しろ!」というのが大学のスタンスだ。
今や日常風景となった大学の不正経理問題をみれば大学の腐敗体質は一目瞭然だ。国の補助金をそのまま懐に入れる職員も少なくない。
「STM」
最近大学業界で流行っている言葉だ。女(SEX)・余暇(TIME)・金(MONEY)の頭文字を取った言葉である。
大学職員はこれらのすべてを手に入れる。
行政の公務員ですらサービス残業に明け暮れる昨今、大学職員はやりたい放題だ。
女学生のレイプから愛人購入、職員優勢の運営スケジュールでバカンス、安定した巨額収入、学生の個人情報販売による収入、国庫さえも大学職員の貯金箱に過ぎない。
おまけに「大学の自治」を理由に警察権の介入を拒否する権限をもっている。大学では彼らは「神」なのだ。
これでは自浄作用もあるまい。

田中真紀子女史は結局、6日に上記3校の不認可を撤回したものの大学設置認可審議会を設置して新しい設置基準を作成するという。
まずは新しい癌の発生を防ごうという狙いだろう。
後々は既存大学の汚職にも斬り込む意気が伺える。
田中真紀子女史がどこまで日本社会に巣食う巨悪と闘えるのか。今後の議論からも目が離せない。